パスタ名人がやって来た
25年来の親友であるロデニの娘が我が国へ移住してきた。パジャマでおじゃまな距離に住んでいるため、週末はぶらりと遊びに行き、学生時代いっしょに興じていたアーリータイムス一気飲みとまではいかないが、息子そっちのけで朝方まで飲んで食ってくっちゃべっている。彼女は大のパスタ好きであり、飲んだ後や翌朝など、腕をふるっておいしいパスタをこしらえてくれる。

自分ではまず買うことのないこの無限大型パスタ、ボウタイ(蝶ネクタイ)という名前すら知らなかった。トッピングされたルッコラが素晴らしく合う。

アンチョビとキャベッジのパスタ。オイルと共に塩漬けにされ、ぐちゃぐちゃに炒められ、野菜と麺に和えられるなんて、海で泳いでいた頃には思いもしなかったであろうイワシのことを1秒ほど考える。

焼きそばじゃないヨ。意図的に乾燥気味に作られたこのパスタ、炒めつけてあるので旨みが凝縮されていてツチヤさんもびっくしこんこんのおいしさ。豪快にお皿からはみでんぷん。なよなよしく盛りつけたりしないのは、我らアラフォー女たちのたくましく生きてきた証である。

パスタの基本のキと言えばペペロンチーノ。ペペロンチーニという人もいるが、もうそんなのどっちだっていいほどうまい。
そんな彼女の座右の銘は、「チキンラーメンは30分待つ。」こんなおいしいパスタたちを作る彼女が言うのだから間違いない、そうだ、賞味期限切れたカップのチキンラーメンが戸棚に入っていた。お湯を入れて30分待ってみた。

フタを押し上げるほど膨れ上がるかと心配したけれどそうでもなかった。歯がなくてもだいじょうぶな飲めるチキンラーメンは、深夜の胃袋にするすると流れていった。
